Private Blog

親子共演

日曜日の午前、久々に何も予定がなかったので父の手術の麻酔のお手伝いをしました。
親子で同じ道に進んだものの、科が違うのであまり共演の機会というのはないものです。
でも今回が初めてではなくて、18年前にも…あの時も10月でしたが一度夢の共演をしています。
当時はまだ研修医だったな…
その後麻酔を離れてだいぶ経つので麻酔科としての私はあまり進歩していませんが。

当時は静脈麻酔薬で導入して吸入麻酔薬で維持をするというハイブリットな麻酔が全盛でした。
私が麻酔を離れた後レミフェンタニルというお薬が登場して、それとプロポフォールによる全静脈麻酔(TIVA)が一気に主流になったようで、吸入麻酔薬を使う麻酔はあまり行われなくなりました。
ところがこのコロナ渦で重症患者が人工呼吸もしくは人工心肺下にある際の鎮静にプロポフォール等の静脈麻酔薬が使われるため需要が急増し、出荷制限になっている影響で代替策として吸入麻酔も最近また行われているようになっているとか。

父のところでもこれまで使用していた麻酔薬が突然入手困難になりました。
婦人科領域の日帰り手術では静脈麻酔薬による鎮静にて全身麻酔が行われる事が多く、今回のコロナショックで麻酔の術を失って慌てている婦人科も多いかもしれません。
幸いに父は麻酔の知識が豊富で、代替策としてNLA変法による静脈麻酔に吸入を加えたバランス麻酔に切り替えて乗り切っているようですが、もう1つの選択肢としてもう1歩踏み込んだ吸入麻酔の使い方を提案するというのが今回の目的です。

手術自体はとても短いので、ポイントは速やかに効いて、速やかに覚めることと、術後の嘔気だと思います。
とはいえいきなり行って全てを完璧にクリアするのは難しいのですが。
一番大事なのは安全に手術が行われることですので、そこはきちんと果たせたかなと思います。

時間がありそうだったら今後また親子共演があるかもしれません。