突然ですが、『白衣高血圧』という言葉をご存知でしょうか?
病院や健診など白衣を着た人の前では血圧が上がってしまうのですが、
普段はそれほど高くない人のことです。
そうでなくとも一般的に診察室血圧といって、診察室ではかる血圧は安静時の1割増と言われます。
どうしても慣れない場所なので、家でリラックスしている時に比べて若干高めにでます。
一方、逆白衣高血圧(仮面高血圧)といって家では高いけれど病院等ではかると低い人もいます。
結論としては、診察室ではかる血圧はあまりアテにはならない、ということなんですね。
私自身も、正直一応測定するものの、ほとんどアテにはしていません。
つまり、診察室ではかった血圧の高値をもって、治療の選択の判断材料にはしないということです。
あくまで私の私見ですが・・・。
健診等で高血圧を指摘された方が来院された場合、診察室でも血圧測定しますが
高かったからといって、ではお薬を・・・とはほとんどなりません。
あくまで『ほとんど』なので、場合によってはお薬の処方になることもあります。
ですが、基本は血圧手帳をお渡しして、自宅でしばらく測定してきてもらい、
その結果をもとに薬物が必要であればチョイスするのが望ましい流れでしょう。
当院で血圧についてご相談される際は、可能であれば1週間くらいの測定結果をご持参頂けたら
話はとてもスムーズに進むのかなと思いますので宜しくお願いします。
ここからは余談ですが・・・なぜいきなり『白衣高血圧』の話になったか?
先日、血圧や脂質(コレステロールなど)について相談をしに来院された方がいました。
昨年の健診で高血圧を指摘された、とのことでしたが、その方は毎日血圧を測定していて
家では110/70前後で安定しているようでした(私も手帳で確認しました)。
健診では160/85くらいだったとのことで、近くの内科を受診したところ・・・
『白衣高血圧だね』と言われたそうで。(私もそう考えます)
問題はその後です。
『お薬が必要となるので、毎朝血圧の薬を飲んでください』と指導されたそうです。
手帳を確認して、『白衣高血圧』と診断しておいて、降圧剤??の不思議です。
言われるがまま服用したそうですが、案の定立ちくらみ、めまいが出現したそうで、
血圧だって90台まで下がって、相談しても変わらなかったので、自己中止したそうです。
処方された薬を見てみると、一般的によく見かける降圧剤の通常の半量が出ていました。
通常の半量、つまり効くか効かないか・・・くらいの量で処方していて、
たまたま反応がよすぎて下がりすぎてしまったようです。
白衣高血圧に対し、薬で治療するにしても一般的な降圧剤では対処にならないどころか
普段の安定した血圧をさらに下げてしまうので体に良くないのは分かりそうなものですが。
不思議なのは『白衣高血圧』と判断しておいて、なぜ一般的な降圧剤が処方されたのか。
『白衣高血圧』という状態の意味を知らない内科の先生だったのか、
それとも・・・
それ以上は差し控えますが、後者だとしたらこれは問題かなと思います。